Step1
精米した米を蒸す。
本格焼酎は大別して、もろみ取り焼酎と酒粕焼酎(酒粕焼酎・粕もろみ焼酎)のニつにわけられます。
もろみ取り焼酎は以下の流れで造られます。
Step 1 : Koji Making
麹は、でんぷんを糖に分解するのに必要な酵素を供給します。
また、クエン酸を生成し、発酵したもろみの腐敗を防ぐ役割をします。
精米した米を蒸す。
蒸した米を冷まし、
麹菌の胞子をまぶす。
温度や湿度を調節して、
麹菌を培養する。
Step 2 : Making the First Moromi - Cultivating Yeast -
麹と水、酵母で一次熟成もろみを造ります。ここで十分な量の酵母が培養されるのです。
麹菌の酵素が、
デンプンを糖に変える。
糖分を利用して
酵母が増殖する。
麹はクエン酸を生成し、
もろみをpH3程度(リンゴと同じ)の
酸性にします。
Step 3 : Making the Second Moromi - Main Fermentation -
発酵が終わるころには、二次もろみには約14〜19%のアルコールが含まれています。
主原料を蒸す。
一次もろみに、主原料と水を加える。
発酵させる。
Distillation
蒸留とは、発酵させた二次もろみからアルコールと一部の香味成分を抽出する工程です。
沸点の違いを利用して混合物から特定の揮発成分を抽出・濃縮します。蒸留器の中で混合物が特定の温度で加熱され、蒸発した成分が冷却装置を通過して結露し、液体として回収される仕組みとなっています。
アルコール(エタノール)は沸点が約78℃、水は100℃。この沸点の違いを利用し、85-95℃で沸騰させることで、もろみからアルコールを抽出することができます。アルコール度数は二次もろみで14-19度ですが、蒸留後、37-45度まで上がります。
一回の蒸留では、アルコール以外の多くの成分がまだ含まれていますが、これらの成分が焼酎の風味を豊かにしています。
単式蒸留機は最もシンプルなタイプの蒸留装置です。本格焼酎と泡盛(このサイトでは「焼酎」と呼んでいます)はすべて単式蒸留機で蒸留されます。単式蒸留機は、焼酎、伝統的なウイスキーやテキーラ、ラム酒に使用され、芳香成分や風味成分を多く含む留出物を得ることができます。
連続式蒸留機は、連続蒸留を可能にする蒸留機です。カラム内に穴あきプレートが多数配置され、香味の少ないより純粋なアルコールを抽出するのに効率的です。このタイプの蒸留機は、グレインウイスキー、ウォッカ、ジン、ホワイトラム、および甲類焼酎に使用されます。
焼酎は一般的に常圧または減圧下で蒸留されます。
また、近年ではこのふたつの中間に当たる微減圧下で蒸留された製品もあります。
常圧蒸留は、大気圧と同じ圧力で行う伝統的な方法です。大気圧下では沸点に影響がないため、もろみを85〜95℃程度で煮沸してアルコールを抽出します。高温のため化学反応が促進され、加熱による化学成分の生成に加え、アルコール以外の成分も気化しやすくなります。そのため、常圧で蒸留した焼酎は風味豊かな焼酎に仕上がる傾向があります。
減圧蒸留は、1973年に福岡県の酒蔵が開発した、大気圧よりも低い圧力下で行われる蒸留の方法です。圧力が下がると化合物の沸点も下がり、45〜55℃の低温でアルコールを抽出することができます。温度が低いため、フローラルな香りの分解や香味成分の蒸発が少なく、軽くフローラルな焼酎に仕上がります。
Aging
一般に蒸留酒は蒸留直後は刺激的な香味であり、数年熟成してから出荷されるものがほとんど。一方、麹を使う焼酎は蒸留直後も穏やかで、1年未満の熟成で出荷されるものがほとんどです。中には3年以上熟成された焼酎もあります。
通常、できたての焼酎は、揮発成分により味わいに角があります。こうした成分は数ヶ月で蒸発し、焼酎の味が滑らかになります。また、焼酎の成分は熟成の過程で物理的及び化学反応が起こり、熟成酒特有の風味が出て味わいを豊かにします。
焼酎は蒸留後、ろ過し、ステンレスタンク、甕、瓶などで熟成させます。焼酎は希釈せずにアルコール度数37%〜43%で熟成させるのが主流です。伝統的な土製の甕の熟成では、多孔質でミネラルを含んだ甕の素材が手伝って独特の風味を生み出しますが、ステンレスタンクは成熟する焼酎の風味に影響を与えることなく大量に熟成させることができます。また近年ではウイスキーやブランデーのように、オークなどの木製樽で熟成し、樽の味わいや色合いを添加する方法にも人気が高まっています。
泡盛は熟成させればさせるほど、まろやかな味になり、旨さが生まれます。通常、南蛮焼きや荒焼と呼ばれる甕(かめ)で貯蔵します。3年以上寝かせた泡盛を古酒(クース)と呼び、より熟成が進む「仕次ぎ」で造ります。
「仕次ぎ」は数個の甕を年代順に並べ、最も古い親酒を汲み出したら、その分を二番目に古い甕から補充し、それを3番目から、というように古い順に継ぎ足していく方法です。
Bottoling
全ての工程を終えたほとんどの焼酎は、水で薄めてアルコール度数を20〜25%にしてから瓶詰めして出荷されます。
このような工程を経て
焼酎はお店に並び、
私たちに美味しさを
届けてくれるのです。
酒粕は、醪を圧搾した後、液体から分離される固形物です。酒粕自体に8〜12度程度のアルコールとでんぷんが含まれているため、焼酎造りの材料として使われてきました。
酒粕には、アミノ酸などのうま味成分がたっぷり含まれています。酒粕焼酎(粕取り焼酎)はその酒粕を原料としているため、芳醇な香り・味わいに仕上がるのです。
酒粕焼酎は以下の流れで造られます。
酒粕焼酎とは、粕取り焼酎とも呼ばれ、酒粕と少量の水を混ぜ、ペースト状にしたものを数ヶ月間置いて酒粕内の酵母で発酵させ、アルコール度数を2~3%上げます。次に、発酵させた粕を籾殻と混ぜてカゴに広げ、蒸留物を集める装置を備えた木製の特別な蒸し器にセットします。籾殻を混ぜることで、蒸気が粕を通りやすくなります。
最近では、より近代的な蒸留技術で作られた新しいタイプの酒粕焼酎もあります。粕を発酵させて木製の蒸留器を使用する代わりに、新鮮な酒粕を、ほぐしながら減圧蒸留器で蒸留します。
粕もろみ取り焼酎は、酒粕を水と混ぜてペースト状のものを作る酒粕焼酎と異なり、お粥のようなもろみを作ります。その後、もろみを約2週間発酵させ、常圧または減圧下で蒸留します。清酒蔵の中には、清酒用の醪と酒粕を混ぜて蒸留し、焼酎を造る蔵もあります。
酒粕とは、
日本酒を製造する際に、
発酵したもろみを搾った後に
液体と分離する固形物のこと。
酒粕を使った焼酎は
また一味違います。