10月上旬、本格焼酎の最新トレンドや新たな楽しみ方を紹介する、「林信朗 & 中川知香と楽しむ大人の社交場 ~本格焼酎・泡盛の世界~」(主催:毎日新聞社、協賛:日本酒造組合中央会)が開かれた。日ごろから焼酎をよく飲むというモデルで女優の中川知香氏と、小牧醸造の小牧伊勢吉氏、料理研究家のクック井上。氏をゲストに、本格焼酎をこよなく愛する服飾評論家の林信朗氏をコーディネーターに迎えて、参加者とともに、本格焼酎と料理とのペアリングや、泡盛の新酒と古酒飲み比べなどを行った。

本格焼酎&泡盛の日

毎年8~9月頃に仕込みが始まり、その年の「本格焼酎ヌーボー」、すなわち縁起のよい新酒が飲めるようになるのが11月1日前後であるということに由来し、11月1日に制定されました。

本格焼酎とは
単式蒸留機で蒸留した、アルコール度数45%以下の焼酎。シンプルな蒸留法のため、原料の香味成分が溶け込みやすく、特有の風味や味わいを持つ。原材料には、麹に加え、米、麦、さつまいも、黒糖、そばなどが使われる。

本格焼酎の魅力を再発見最新のトレンドを紹介

 「本格焼酎、そして泡盛のために!」という、林氏による乾杯の音頭でスタートした本セミナー。まずは、「本格焼酎の新たな魅力」をテーマに、ゲスト3名と林氏によるトークセッションを行った。

 語らいのお供は、芋焼酎の炭酸割り。鹿児島県で創業100年を超える蔵元・小牧醸造の3代目小牧氏によると、本格焼酎の最近のトレンドは炭酸割り。本格焼酎のしっかりとしたコクと、すっきりとした後味の両方を楽しむことができる。

 本格焼酎を目当てに友人と居酒屋をはしごすることが多いという中川氏も、日ごろから炭酸割りを好んで飲むという。
 トークセッションに耳を傾けながら、出演者と同じく炭酸割りを味わう参加者は「飲みやすくて、おいしい」と早速本格焼酎の魅力を再認識したようだ。

 中川氏が、「自宅で本格焼酎を楽しむときに使える、上級テクニックは?」と尋ねると、鹿児島県で古くから親しまれる「お湯割り」を小牧氏が紹介。人肌より少し熱い40~45℃にすることで、ふわっと香りが開き、飲み口がまろやかに、そしてうまみが引き立つという。

 次いで、林氏が6年前に横浜の洋食店を訪れた際の、忘れられないエピソードを披露。メンチカツに合わせる飲み物として、メニュー表から何気なく選んだ麦焼酎。これが、メンチカツのこってりとした味に驚くほどマッチして抜群に美味しかったという。「本格焼酎って洋食にも合うんだ!と、衝撃でした」と振り返る。以来、食中酒として、さまざまな料理に本格焼酎を合わせて楽しむようになったそうだ。

 「蒸留酒には、油をすっきりさせる性質がある。だから揚げ物などの家庭料理にもよく合い、とても親しみやすい」とクック井上。氏が補足した。

 小牧氏は、「近ごろは、香り高い本格焼酎もトレンドのひとつ。ライチやメロンなどさまざまなフレーバーの本格焼酎が出ているので、ぜひお気に入りを探してみてほしい」と呼びかけた。

料理とのペアリングでさらに本格焼酎の知識を深める

 次に行われたレクチャー & ペアリングタイムでは、まず小牧氏が本格焼酎の定義と種類について解説。本格焼酎は、作り方や工程によって、リッチ、スムース、ライトという3つの味わいに分けられる。

 違いを学んだところで、いよいよペアリングがスタート。3種の本格焼酎とそれに合わせた料理3品がテーブルに並ぶ。料理研究家として、これまでさまざまな料理とお酒の組み合わせを研究してきたクック井上。氏が、各料理とのペアリングを解説する。

 1品目は、スモークサーモンのコンディメンツ(調味料)添え。合わせるのは、スムースタイプの麦焼酎。産地である長崎県壱岐市のミネラル豊富な地下水は、本格焼酎の味わいに厚みを与え、その個性がキレの良い飲み口を引き立たせる。
 クック井上。氏は、このペアリングについて「麦焼酎の芳醇な香りと料理のスモーキーな香りが相性抜群!」と太鼓判を押す。「麦焼酎は、豊かな香りを持ちながら後味がすっきりしているので、マカロニグラタンなど濃厚な洋食とも相性が良い」とのこと。これに対して、中川氏は「味わいはもちろんのこと、グラタンの香ばしさも麦焼酎の香りとマッチしそう!自宅で試してみたいです」と興味津々だった。

 続く2品目は、牛肉の冷しゃぶ。合わせるのは、ライトタイプの米焼酎。産地である熊本県人吉市は、冬季の平均気温が低く、比較的低温での発酵と、適度な環境による貯蔵が可能。また球磨川水系の軟水を使用することで、米由来のまろやかな甘さが際立つのが特徴だ。
 クック井上。氏は、「冷しゃぶはもちろん、これからの時期は温かいしゃぶしゃぶに合わせるのも良い」と提案。小牧氏は、「料理の温度に合わせて、ロックや炭酸割りにするなど、飲み方を変えて楽しんでほしい」とペアリングのコツを添えた。

 3品目の油淋鶏(ユーリンチー)には、奄美群島のリッチタイプの黒糖焼酎を合わせる。奄美大島を中心とする奄美群島は、四季を通じて平均気温が高く雨量が多い。温暖な気候で育つサトウキビを原料とする黒糖で仕込む焼酎は、黒糖の甘い、カラメルのような香りと、米麹由来の芳醇な風味をあわせもつ。
 クック井上。氏によると、「油淋鶏の甘みが、黒糖焼酎の香りと抜群に合う。ペアリング成功の秘訣は、味の方向性を合わせること」と明かした。甘辛い角煮や回鍋肉(ホイコーロー)など、ほかの中華料理にもぴったりだという。

 本格焼酎は、産地の特性に合わせた方法で製造される。参加者は、産地や原料の違いを味わいつつ、料理とのペアリングを大いに楽しんだ。

泡盛の新酒と古酒の飲み比べデザートタイムも

 本格焼酎と料理のペアリングを存分に味わった次は、泡盛の新酒と古酒の飲み比べを行った。用意したのは、新酒、3年古酒、10年古酒の3種類。

 小牧氏によると、市場に出て回る泡盛の多くは2~3年ものだという。実は小牧氏でも、新酒や10年古酒が飲める機会は滅多にないという。「年月によって泡盛のまろやかさがどう変化するか、ぜひ違いを比べてみて」と呼びかけた。

 最後は、芋焼酎のお湯割りをビターチョコレートと楽しむデザートタイム。大のチョコレート好きだという林氏は、チョコレートとお湯割りの組み合わせに「お湯割りに合わせることで、チョコレートの風味や口当たりが変わるのが面白い」と驚いた様子。クック井上。氏は「スパイスの効いたチョコなど、変わり種に合わせるのもよさそう!」と話した。中川氏は、自分へのご褒美にチョコレートを買うことがあり、「これからは本格焼酎と一緒に楽しみたい」と笑顔で語った。

 参加者から自宅での本格焼酎の楽しみ方を尋ねられると、林氏は「本格焼酎や泡盛は、家で食べるカジュアルな料理にもぴったり。手の込んだ料理を作ろうと気負わなくてもいいんです。既製品のお惣菜や冷凍食品に合わせるなど、もっと気軽に楽しんで」と締めくくった。
 登壇者も参加者も心ゆくまで本格焼酎やペアリングを楽しみ、セミナーは大盛況のなか幕を閉じた。

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