ニューヨークの本格焼酎事情:リッカー・ストアー
ランドマークの店内、
向かって左の二つの棚には
焼酎がずらりと並んでいる。
また、私が以前訪れたマンハッタン郊外のリッカー・ストアーで店主の方にこんな話を聞きました。「某焼酎のラベルの文字は米国向けにローマ字表記であった。ほとんど売れなかったが、ラベルを金色の紙に筆文字でひらがな表記したら急に売れるようになった」と。味がわからなくてもラベルがきれいといって購入するお客様もいるとか、まずは飲んでいただくことから始まるので、米国人に売るためにはエキゾチックで魅力的なラベルも重要です。米国向けに英語やローマ字表記するよりもむしろ和紙に漢字やひらがなといった日本的なラベルの方が米国人には人気があるようです。
正直、本格焼酎は日本酒に比べて、ニューヨーカーの間での認知度はまだまだ低いというのが現状です。私がニューヨークで日本酒輸出協会のお仕事を手伝い始めたのが1998年からですが、当時はマンハッタンのリッカー・ストアーの棚に日本の地方の地酒などは並んではいませんでした。しかし、10年以上の時を経て、今ではマンハッタンのいたるところのリッカー・ストアーに地酒が並ぶようになりました。そして、ニューヨーカーたちも自宅で日本酒を飲むようになりました。これはひとえに年に数回、惜しげなくニューヨークに通い、あるいは2、3年この街に住んで地道な営業活動を重ねた日本酒の蔵元さんたちの努力の成果だと思います。日本酒がニューヨークで市民権を得るまでに10年以上の歳月が費やされているのです。本格焼酎も日本酒同様にニューヨークで市民権を得る日が必ず訪れると思います。このコラムを通じて、皆様にニューヨークにおける本格焼酎の現状をお伝えすると共に、皆様と一緒に考え、ニューヨークにおける本格焼酎の普及・啓蒙活動にご協力していきたいと思います。