第19回:米焼酎の特徴
ルーツは熊本県人吉地方。香りの華やかさで愛飲者増加中
米焼酎は四大焼酎のひとつに入る。原料別構成比で見ると、沖縄の泡盛も含めると17%、除いても10%前後のボリュームがある。しかしその大きさに比べて案外認知度が低い。米で造る酒というと誰しも最初に清酒を思い浮かべるからかもしれない。
米で焼酎を造るというのは、贅沢なことであった。つい数十年前まで米は生産量が足りず、主食用、清酒用なども割り当ての時代であったのだ。だから米焼酎の歴史は新しいものかと思えば、これが意外に古く戦国時代から造られていたと言われる。
米焼酎のルーツは、熊本県人吉地方である。なぜここだけでというのは不思議に思わせる。ひとつの理由は、この人吉盆地が非常に米の豊富に採れる地域であったということ。江戸時代には公称は2万2千石であったが実高では10万石を越える隠し田があったと言われる。これだけ米に余裕があれば、焼酎造りに米を使うことも可能であったわけである。戦国後期に九州に伝わった蒸留術が、この地では豊富にあった米によって花開いたというわけだ。米焼酎は、華やかな香りに特徴があるが、最近では低温発酵などによって吟醸酒と見まがうような焼酎もあり、首都圏でも愛飲者が増え始めている。