続 知ってる?本格焼酎のコト

第33回:おいしい飲み方(3)

水質の違いが関係? 地域の伝統が残る飲み方の違い

九州中部の中心地に熊本に行ってきました。熊本県と言えば、WTOの原産地指定の認定を受けた球磨焼酎の産地を抱えているので、米焼酎派が中心なのかと思いましたが、飲食店での様子は少し違うようです。和風創作料理「まるた庵」ダイニングバー「和YA」と2軒ハシゴした印象では、いも焼酎の銘柄が目立ちました。

でも考えてみれば当たり前かもしれません。お酒は嗜好品であり、慣れ親しんだお酒を安心して飲みたいという気持ちと共に、流行のお酒・飲んだことのない銘柄を飲みたいという気持は常に共存するからです。

しかし飲み方にはその地域独自の風習が根強く残るものです。例えば、鹿児島県ではもともとあった焼酎をお湯割りにして飲むという習慣が今に引き継がれています。

熊本はというと、かつて産地の球磨地方では、ストレートや水割りで飲むことが多かったそうです。そのせいか私の見た限りでも、女性でも焼酎を水割りやロックで飲む人が多いように感じられました。

もしかすると、熊本市は飲用水の大半に地下水を利用していて、日本一水道水のおいしい街と言われていることと関係があるのかもしれません。焼酎をおいしく飲むためには割る水の質も大変重要だからです。

酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 11/18掲載)

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