第20回:泡盛の特徴(1)
独特の製法を守る本土の焼酎の兄貴分
泡盛は酒税法上では本格焼酎と同じ乙類焼酎に属しているが、独特の伝統製法を堅持していて、他の本格焼酎とは別格の扱いをされている。蒸留機が日本に伝播してきた経緯を考えても泡盛は本土の焼酎の兄貴分といったところだろうか。
戦前の泡盛の生産量は約3万石(5千kl強)でその1/3ほどが本土へ移出されていた。しかし、戦争で泡盛のメーカーはどこも大きな被害を受けたことと、沖縄が1972年まで米国施政下にあったことなどで、本土では泡盛は幻の酒となっていった。そんな1970年に酒に関する研究で日本第一人者であった坂口謹一郎博士が「君知るや名酒泡盛」という論文を雑誌「世界」に発表し、泡盛に対する一般人の関心も高まりはじめる。
日本返還後の30年間で泡盛の生産量は2万3千klと戦前の4倍以上にまで増加したが、本土への移出量は、つい2年前までは、全体の1割以下のままに留まっていた。しかし、ここ2~3年で本土でも泡盛を飲める飲食店や売っているお店が大幅に増加している。先日の沖縄サミットで泡盛の古酒が供されたのも追い風になったのかもしれない。昨年では、本土移出分が3千6百klと全体の15%を占めるほどにまで回復した。