第28回:焼酎の原料表示
人気の甲乙ブレンド焼酎の実態とは?
このコラムでは焼酎の原料による違いを何回かに渡って紹介してきた。みなさんも焼酎を飲まれるときにラベルや原料表示についても関心を持たれたことと思う。
焼酎には、甲類と乙類の2種類があり、現在はそのブレンド品も人気である。実際に甲類焼酎には、原酒として本格焼酎を5%まで混和することが許されている。最近増加している甲乙混和焼酎の場合には最大で50%まで本格焼酎をブレンドすることもできる。
乙類混和比率 | 冠表示規定 | |
---|---|---|
甲類焼酎 | 5%未満 | なし |
甲乙混和 | 50%未満 | なし |
乙甲混和 | 95%未満 | あり |
乙類焼酎 | 95%以上 | あり |
但し、本格焼酎は乙類100%に限られる
無味無臭の甲類焼酎に味や香りに特徴のある本格焼酎をブレンドすることで、消費者の評判もよいようだし、コスト的にも原酒100%の本格焼酎よりも安くできる。ただし気になるのが、ラベルにある原料の冠表示である。甲乙混和焼酎の場合には例え「麦焼酎」と書いてあっても、必ずしも使用している原料が麦中心とは限らない。半分以上を占める甲類焼酎の原料については規定が定まっていないからである。
甲類焼酎はチューハイやウーロン茶割りにして飲まれることが多く、原料の特性を蒸留によってニュートラルな味にすることが持ち味である。従って、本格焼酎と同じ規定を準用することには無理があるし、そもそも原料の名前を大きく冠表示すること自体に矛盾があるのではないだろうか。