第6回:本格焼酎の歴史(2)
イメージアップ!酒税増税の“逆風”にもめげず人気上昇
焼酎というと安価で健康的なお酒というイメージが浸透しています。しかし昭和40年代までは南九州など本格焼酎の地元を除くと、あまりよいイメージは持たれていませんでした。しかもかつては甲類焼酎も含めて、低所得者が飲むお酒ということで、他の蒸留酒に比べて酒税も安く設定されていました。
税金が安いのは大変よいことだったのですが、イメージが向上して飲まれる量が増えてきた90年代に入ると、EUから同じ蒸留酒のウイスキーやウォッカなどよりも税金が安いのはアンフェアであるとクレームがつけられました。
日本側では焼酎はお湯などで割って飲む日本の伝統的な食中酒で、ウイスキー等とは競合しないと反論したのですが、WTOの裁定に従いウイスキーの減税、焼酎の増税となります。今では酒税面では焼酎もウイスキーもアルコールの度数刻みで同じ税率が適用されています。
このとき九州の地場零細企業が中心の本格焼酎は、増税で需要が減少すると大変なことになると心配されましたが、逆に焼酎のイメージアップが進み、増税された本格焼酎が増加傾向となり、減税されたウイスキーの消費量が大幅に減少したのは皮肉な結果でした。値段が上がることで危機感が高まり、一段と品質向上が進んだことも一因かもしれません。