第22回:そば焼酎
昭和50年代に入って一気に全国区の人気に
そば焼酎は、昨年の製造量が2万kl余。一升瓶換算で1200万本相当であり、麦焼酎・いも焼酎・米焼酎に次いで4番目の製造量となっている。しかし「麦」「いも」「米」による焼酎造りが江戸時代にまでその起源を遡れるのに対して、「そば」焼酎の歴史はまだ新しい。はじめて製品として販売されるようになったのは昭和48年(1973年)のことだ。
その当時は、いも焼酎は鹿児島・宮崎南部、米焼酎は熊本、麦は大分・長崎など今以上に地域毎に焼酎の原料は明確に分かれていて、宮崎県では、トウモロコシや粟・黍などを主原料にして焼酎が製造されていた。後にそば焼酎のパイオニアとなる雲海酒造の地元の五ケ瀬地方ではそばが特産品であり、これを使ってよりまろやかな焼酎が作れないかという長年の努力の結果、ようやく誕生したのがそば焼酎「雲海」なのである。そして昭和50年代に入るとロックや水割りでもおいしい焼酎として、そば焼酎は一気に全国に広がっていったのだ。
最近では、宮崎以外でもそばの産地である長野県や北海道でもそば焼酎の製造が盛んになり、数多くの銘柄が見られるようになってきた。首都圏では、居酒屋や和食店の他にそば屋での取り扱いが多く、そば焼酎のそば湯割りがその相性のよさで人気を集めている。