第5回:本格焼酎の歴史
東海道中膝栗毛の時代には「疲労回復」にも
ゴールデンウィークも終え、今日から出勤という人も多いことと思います。今日は簡単な歴史のお勉強です。焼酎はいつから日本で飲まれているかご存じですか?日本で最初に焼酎の文字が出てくるのが、鹿児島県出水市にある郡山八幡神社の棟札にあった落書です。永禄2年(1559年)の社殿の修復工事の際のもので、「座主がけちで、一度も焼酎を飲ませてくれない。えらい迷惑なことだ!」と書かれているのです。しかしこれは焼酎の本場九州でのこと。江戸や京・大阪ではどうだったのでしょうか。
江戸後期の享和2年(1802年)に十返舎一九が書いた『東海道中膝栗毛』では2回ほど焼酎が登場します。最初が三島宿での情景として「焼酎はいりませぬか、目のまわる焼酎を買わしゃいませ」という声だけの登場です。続いて、四日市の宿場ではなんと宿屋の中に「焼酎はいりませぬか、白酒あがりませぬか」と売りに来ます。これを喜多八が購入して、足の疲れをとると言って足にふりかけて、後ほど足が酔っぱらったなどといって戯れるわけですが、飲んではいないようです。庶民の間では傷の消毒や医薬品としては使われていたようですが、常時飲めるほどの量は出回っていなかったのでしょう。