続 知ってる?本格焼酎のコト

第12回:いも焼酎の人気

原料不足で産地認証の動きも急ピッチ

いも焼酎の人気は今年もここまで天井知らずの勢いである。原料いも確保のためにある焼酎メーカーが、自社の遊休畑を活用して、社員や杜氏などが総出でさつまいも作りに乗り出したとテレビニュースが報道されるほどである。

しかし課題はいもの確保だけではない。さつまいもは水分や糖分が多いので、収穫後すぐに仕込まなければ品質変化がはじまる。しかも焼酎造りでは、数週間から数ヶ月間カメやタンクの中で発酵や熟成をさせる必要があるため、多くのいも焼酎メーカーでは期間中はすでに設備がフル稼働状態になっている場合が多い。従って、原料の調達が可能になっても、今度は設備が足りないという状況が生まれてくるのだ。

急いで増産を進めようとするならば、仕込み期間も延長できる冷凍保存いもなどを使う方法も今後の研究課題になってこよう。今シーズンからは、「南薩摩本格いも焼酎」などの認証シールを貼られた商品も登場してくるし、県全体で取り組んでいる鹿児島県内産の農産物を使ったという証拠の「鹿児島ブランド」認証商品も登場する方向である。まだ過渡期なので、貼っていなくてもほとんどのいも焼酎の原料は国産品と考えてよさそうであるが、将来はブランド化していくかもしれない。

酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 6/24掲載)

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